線形連続時間モデル
1.1 モデルの表現
1.1.1 線形定係数常微分方程式
1.1.2 ラプラス変換
- ラプラス変換
- 逆ラプラス変換(あまり使わない)
最終値の定理
初期値の定理(あまり使わない)
1.1.3 フーリエ変換
パーセバルの等式
エネルギーの等価性
信号のエネルギーが周波数領域と時間領域で等しいことを表す等式である。
- 左辺: 時間領域における信号の2乗 = パワー
- 右辺: 周波数領域における信号の2乗 = パワー
1.1.4 インパルス応答と伝達関数
畳み込み表現
離散インパルス信号
伝達関数の周波数表現
1.2 モデルの実例:RL回路
RL回路の微分方程式:
伝達関数:
(1) 単位インパルス応答
入力:
インパルス応答:
安定性
マイナスの実数根であるので、システムは安定である。
インパルス応答のフーリエ変換は周波数応答になり:
つまり、伝達関数に を代入することと同じである。
(2) 交流起電力
入力:
応答:
部分分数展開
係数を求めると:
項:
項:
項:
したがって:
最終的な応答:
応答の構成
- 過渡解: (実根)
- 強制解: (共役複素根)
周波数特性の評価
のとき となるので、このシステムはローパスフィルタである。
(3) ステップ入力
入力:
ステップ応答:
ヘビサイドの公式による部分分数展開
係数を求めると:
したがって、一次遅れ系のステップ応答は:
時定数の意味
のとき、
これは定常値の**63.2%**に達する時間である。が応答の速さを支配するパラメータで、時定数と呼ばれる。
- が小さい → 応答が早い
- が大きい → 応答が遅い
まとめ
本章では線形連続時間システムの基礎的な表現方法と解析手法について学習した:
- 微分方程式: システムの動的特性を表現
- ラプラス変換: 時間領域から周波数領域への変換
- 伝達関数: システムの入出力関係を周波数領域で表現
- インパルス応答: システムの特性を完全に記述
- 実例解析: RL回路による具体的な解析手法
これらの基礎概念は、システム同定における重要な理論的基盤となる。